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半日型デイ VS 1日型デイの本質とは──自立支援の核心を語る

株式会社3eee 田中紀雄社長は、デイフェス2025 in 大阪にて、株式会社スターコンサルティンググループ代表取締役の糠谷和弘氏と共同登壇いたします。長年にわたり業界を牽引してきた両氏が、自立支援の本質と、変化する介護保険制度下におけるデイサービスの未来について深く議論いたします。

目次

登壇への思い

「デイフェス2025 in 大阪」に登壇するにあたり、田中社長の思いや、テーマの背景を教えていただけますか?

 

今回の登壇は、今の介護保険制度や、半日型デイ、そして1日型デイの未来について、私が率直に抱いている危機感と期待をすべてぶつけたいという思いからです。

 

タイトルは“半日型デイ vs. 1日型デイ”としていますが、対立がしたいわけではありません。業界全体で一度立ち止まり、この先のデイサービスをどう創っていくのかを共に考える場にしたいという願いがあります。糠谷さんとは日頃から意見交換を続けていますので、今回は“業界の現在地”と“これからの在り方”を徹底的に掘り下げたいと考えています。

「預かる介護」からの脱却──自立支援型デイの原点

ー3eeeは自立支援を目的とした短時間デイからスタートされていますが、その原点にはどのような問題意識があったのでしょうか?

 

介護保険が始まった当初、多くのデイサービスは実質的に“預かり”に近い状態でした。オセロや将棋、お手玉などの活動が中心で、悪いわけではありませんが、どこか“高齢者の幼稚園”のように見えてしまう場面が多かったのです。

 

本来、介護保険の理念は「自立支援」と「尊厳の保持」です。しかし当時は、その理念が十分に現場に浸透しておらず、誰も本気で自立支援に取り組んでいませんでした。

 

自立支援とは、“できないから助ける”ではなく、その方の持つ力を最大限に活かす関わりです。少しでも自分でできたという経験は意欲を生み、生活の質を高めます。だからこそ私たちは、“できる瞬間”を奪わない支援を何より大切にしています。

 

それなら、自分たちが本気で取り組むしかない。
そう腹を括って立ち上げたのが3eeeです。丁寧に自立支援に向き合えば、一定の方は本当に改善する

 

——その事実を証明したい。その強い意志こそが、私たちの原点なのです。

半日型デイの真の論点──“改善の先の生活”へ

ー半日型デイの市場をどう分析し、どのように差別化していこうと考えておられますか?

 

どの会社のデータを見ても、改善率そのものは大きく変わらない傾向があります。メソッドが違っても、取り組む内容が異なっても、結果に影響している多くの要素は共通しているからだと思います。

 

だからこそ、私たちが見るべきは“改善した先の生活”です。

IADL、QOLといった、日々の暮らしの質そのものへどれだけ迫れるか。

自立支援にしっかり取り組めば、確かに改善される利用者様がいます。それは私たちも証明してきました。

 

しかし大切なのはその後です。“どんな生活を送りたいのか”そこに踏み込むことが、これからのデイサービスの価値になると考えております。

 

制度が抱える構造的問題──「レスパイト」の誤解とこれから

ー制度の課題や、業界の懸念点について教えてください。

 

“自立支援 VS レスパイト”という対立で語られることがありますが、私はその構図そのものが本質を見失わせてしまうと感じています。

 

本来レスパイトは、“家族の負担を軽くし、生活を守る”ための大切な機能です。しかし一部では“何もしないサービス”と誤解され、その誤解が不要な二項対立を生んでしまいました。自立支援もレスパイトも、どちらも必要で、どちらも利用者様の生活を支える重要な役割があります。私たちは、利用者様の生きがいを支えながら、家族支援の伴走者でもありたいと思っています。

 

制度面で見ると、半日型を二部制で運営する形態は、当初行政も必ずしも想定していなかったはずです。民間の創意工夫から生まれたサービスだからこそ、今後はより丁寧な説明や取り組みが求められる場面も増えていくでしょう。また、事業の規模が拡大すれば、運動提供が中心となり、本来の専門性が薄れてしまう懸念もあります。

 

“生活のための運動”であるはずが、“運動したから良かった”で終わってしまうのは、私たちが目指す姿ではありません。本当に大切なのは、運動そのものではなく、その方の生活を変えるために運動をどう位置づけるかだと考えています。

一日型デイの可能性──「生きがい」をつくる力

ーなぜ『生きがい』を重要視されるのでしょうか?

 

私自身が高齢者になったとき、運動だけを行う施設には行きたいと思えません。
デイサービスに必要なのは“人生の彩り”であり、“生きがい”です。
半日型のプログラムは1日型でも展開できますし、昼食やイベント、交流の仕掛けを組み合わせることで、利用者様は“自分はここに必要だ”と感じることができます。

 

重要なのは、
“家族の負担を減らす”
“自分で生活を続けられる”
“楽しさや生きがいを感じられる”
そのすべてを満たす仕組みです。

 

1日型デイは、その仕掛けを最も豊かに提供できる可能性があります。“利用者様がどう生きたいか”という本質に向き合える形態だと考えております。

事業展開と未来への視点──次世代に選ばれるデイへ

今後の事業展開について教えてください。

 

私はこれまで、広い面積を生かした“コンビニのリノベモデル”も取り入れ、利用者様が増えても快適に過ごせる仕組みを構築してきました。

今後の利用者層は、間違いなく“質”を求める世代になります。デザイン性、清潔感、スタイリッシュさは避けて通れません。

また、アプリ中心の時代は終わりに近づいていると感じています。AIがこれだけ進化すれば、価値の基準が大きく変わります。

 

介護保険財源が縮小し、総合事業の拡大で自治体格差も広がります。
その中で“生活価値を高めるデイサービス”が確実に求められる時代に入っています。

 

今回の登壇は、その議論を深める絶好の機会になると考えております。

結び──すべては「気づき」から

ー業界の未来、そして登壇を楽しみにされている方へ一言お願いします。

 

介護保険財源がひっ迫する中、業界はこれまで以上に“選択と集中”を求められる時代になります。
本当に向き合うべきは、“利用者様がどう生きたいか”という一点です。
今が正解でも、2年後にはまた変わります。

 

当日は同じ業界の仲間として、皆さんと共に考え、共に未来を創りたいと思っております。すべては“気づき”から始まります。そんな一日を一緒につくっていきたいと願っております。

株式会社3eeeは、「生きがい」を軸とした事業展開へ進化を続けております。
デイフェスのように同業者が集う場で積極的に発信し、業界全体が自立支援の本質を見つめ直すきっかけをつくりながら、これからも介護・福祉の未来を共に切り拓いてまいります。

株式会社3eee 代表取締役  田中 紀雄
株式会社3eee
〒060-0004 北海道札幌市中央区北4条西6丁目1-3
TEL/011-210-8088
FAX/011-210-8089
この記事は2025年12月12日に作成されました