「楽しい」がすべての原点。子どもたちの“できる力”を育む発達支援への関わり方

そう穏やかな表情で語るのは、発達支援に携わるラブアリスの細川美香校長。
「子どもたちは“楽しい”と感じている時が、一番自然に力を伸ばせるんです。気づいたら“できること”が増えている。そんな関わり方を大切にしています」
一見シンプルな言葉の中には、「楽しさ」を発達の根幹と捉える、細川校長ならではの支援観があります。
子ども一人ひとりが安心して過ごし、自分のペースで成長していけるように。細川校長は、日々の支援の中で、その環境づくりに丁寧に向き合っています。
今回のインタビューでは、細川校長の“支援観”や“子どもとの向き合い方”、そしてその根底にある思いを伺いました。
目次
- ■ 楽しさの中で伸びていく。「できる」を見守る関わり方
- ■ 「違うよ」とは言わない。伝え方ひとつで変わる子どもの反応
- ■ 家庭・学校とつながる。見えない背景に寄り添う支援
- ■ 診断にとらわれず、その子の“今”を見る
■ 楽しさの中で伸びていく。「できる」を見守る関わり方
ー「支援」というより、「一緒に楽しむ」ことが基本なんです。
「楽しくできれば、それが一番だと思っています。楽しい時間を過ごしているうちに、知らないうちに“できること”が増えていくんですよね」
細川校長が特に大切にしているのは、“やりすぎない支援”です。発達支援の現場では、大人が先回りして手を差し伸べてしまう場面も少なくありません。しかし細川校長は、そこで成功体験の機会を奪ってしまいますと、子ども自身が持っている「伸びようとする力」を弱めてしまうこともあると感じてきました。
「手を貸したくなる場面でも、まずは見守るようにしています。子どもが『できた』と自分で気づける瞬間をつくることが大切なんです」
そして、できた時には――
「その時は、とにかく一緒に喜びます。褒めて、褒めて、褒める。そうすることで“成功の記憶”が積み重なって、次の挑戦につながっていくんです」
支援というよりも、子どもに寄り添いながら成長の過程を共に味わう。そんな姿勢が、細川校長の言葉の端々から伝わってきます。
■ 「違うよ」とは言わない。伝え方ひとつで変わる子どもの反応
ー否定ではなく、“こうやったらできるよ”と伝える。
学習支援や日常の関わりの中で、細川校長が強く意識しているのは言葉の届け方。特に、「違うよ」という否定の言葉は使わないよう心がけていると言います。
「“違う”と言われると、自分そのものを否定されたように感じて、心を閉じてしまう子も多いんです。だから私は、“こうやったら、もう少し上手くいくかもしれないね”という伝え方をしています」
この言い換えは、子どもの自己効力感を守りながら、次の行動へと自然につなげていくための非常に専門性の高い工夫です。遊びの場面についても、細川校長は「遊び=発達そのもの」という視点を持っていました。
「一人遊びから並行遊び、協同遊びへと進んでいく中で、最初から“貸して” “いいよ”が上手にできる子はいません。トラブルが起きてから注意するのではなく、起きる前に少しだけサポートすることが大事だと思っています。“どうしたらうまくいくか”の成功体験を、大人が一緒に作ってあげるイメージですね」
子どもの行動一つひとつを発達段階として捉え、適切な介入を行うところに、細川校長の専門性が滲み出ていました。
■ 家庭・学校とつながる。見えない背景に寄り添う支援
ー子どもの行動の裏には、必ず“理由”がある。
「『行きたくない』と言う子も、実はその場所が嫌いなわけではないことが多いんです」
細川校長は、子どもの言動を表面的に捉えず、その背景に目を向けることを大切にしています。
「たとえば、お家でゲーム配信を見たかったとか、本当に些細な理由のこともあります。でも、それをうまく言葉にできない子も多いんです。だからこそ、家庭や学校との連携は欠かせません。保護者や学校の先生と話をしながら、子どもを取り巻く状況を立体的に捉えていきます。印象的だったのは、『怖い先生がいるから学校に行けない』と訴えた子のケースです。ほんの小さな出来事をきっかけに、“先生=怖い”という認識が強く残ってしまうこともあります。でも、先生にも悪気があるわけではないんですよね」
その上で、細川校長は学校の先生にもこう伝えたといいます。
「泣きながらでも来られた時には、『よく来たね』と声をかけてあげてください、とお願いしました」
たった一言が、子どもの安心につながる。細川校長の支援は、子どもだけでなく、周囲の大人を支えることにも繋がっていました。
■ 診断にとらわれず、その子の“今”を見る
ー名前や診断ではなく、目の前のその子を。
「診断名に捉われすぎる必要はないと思っています。ADHDやASDといった診断名が先に立ってしまうと、その子自身が見えにくくなることがあります。大事なのは、今どんな特性があるのか。それを丁寧に見て、その子に合ったやり方を探していくことが必要です。診断名を否定するわけではなく、あくまで参考のひとつ。その上で、目の前の子どもの状態や興味、得意なことを拾い、環境を整えていく。その子に合う方法を見つけて、楽しく過ごせる環境をつくること。それが一番の支援だと思っています」
細川校長の言葉からは、「一人ひとりに合った支援を、決して諦めない」という強い想いが感じられました。
「できた!」「楽しい!」――
その何気ない一瞬の表情の積み重ねを、細川校長は何よりも大切にしてきました。
「子どもたちが楽しく成長していけるように、まずは大人が“楽しい”という気持ちを大事にすること。支援って、実はそこから始まるんです。」
穏やかで飾らない言葉の中には、日々の関わりの中で積み重ねてきた経験と、子ども一人ひとりを丁寧に見つめ続けてきた姿勢がありました。
できるようにするために教え込むのではなく、その子が持っている力を信じて支えること。
細川校長の実践は、発達支援の現場だけでなく、子どもと関わるすべての大人にとって、多くのヒントを与えてくれることでしょう。

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