人として向き合う時間が、介護の価値をつくるー現場から考える、支援の本質と専門職の在り方

それは、利用者様一人ひとりとどのような距離で向き合い、どのような関係性を積み重ねていくのかという、日々の選択の連続だ。
今回話を伺ったのは、カラダラボ函館湯川で働く奥田伶奈さん。
一度は介護の現場を離れたものの、再び介護の仕事に戻ってきた。異なる業界を知ったからこそ見えてきた「自分に合う仕事」とは何だったのか。その背景には、家庭で介護を見て育った原体験や、ライフステージの変化、そして人と向き合うことへの一貫した姿勢があった。
日々の支援の中で、奥田さんはどんな瞬間にこの仕事の価値を感じているのか。
カラダラボ函館湯川という場で育まれている関係性を、奥田さん自身の言葉を通して丁寧にたどる。
目次
- ■異業種経験が明確にした「人と向き合う仕事」という選択
- ■働き方と理念が重なる現場との出会い
- ■信頼関係の蓄積が、仕事の実感値になる
- ■適切な距離感と情報共有が、支援の質を高める
- ■介護の仕事は、社会的価値の高い専門職だ
■異業種経験が明確にした「人と向き合う仕事」という選択
——一度介護を離れ、再びこの仕事に戻ろうと思われた背景を教えてください。
私は一度、介護の仕事を離れ異業種で働いていました。仕事内容としては全く違う分野でしたが、実際に働いてみると、若い方と接するよりも、高齢の方とお話しする機会が自然と多くなっていました。そこで、やはり私はご高齢の方と接することのほうが好きだと気づきました。その方がこれまで歩んできた人生や考え方を聞く時間がとても温かく感じていたのです。
また、家庭の状況も大きなきっかけでした。子どもが保育園に通い始め、以前より急な呼び出しが少なくなったタイミングで、改めて働き方を見直すようになりました。そのときに、「今ならもう一度、介護の現場に戻れるかもしれない」と思いました。生活リズムや性格を考えても、営業職より介護の仕事のほうが無理なく続けられると感じました。
介護の仕事が嫌で離れたわけではありません。一度別の業界を経験したからこそ、「やはり自分は人と向き合うこの仕事が好きなのだ」と、はっきり自覚できたように思います。
■働き方と理念が重なる現場との出会い
——カラダラボ函館湯川を選ばれた理由は何だったのでしょうか。
カラダラボ函館湯川を知ったきっかけは、とても身近なものでした。自宅周辺を送迎車がよく走っていて、「リハビリ特化型デイサービス」という文字が目に入っていたんです。一般的な一日型の通所介護とは違う印象があり、「ここはどんなことをしている事業所なのだろう」と自然と関心を持つようになりました。
また、日中型サービスであることや、自宅から近いことも、現実的には大きな決め手でした。家庭との両立を考えたとき、通勤距離や時間は重要な要素です。そうした条件と、自分の関心が重なったのがカラダラボ函館湯川でした。
実際に働き始めてからも、職場の雰囲気が明るく、スタッフの年齢のバランスも良く、無理なく馴染むことができました。スタッフ同士が自然に声を掛け合い、相談しやすい環境があることも、日々の安心につながっています。そうした環境面も含めて、「ここでなら長く働けそうだ」と感じています。
■信頼関係の蓄積が、仕事の実感値になる
——この仕事が自分に合っていると感じるのは、どんな瞬間ですか。
一番実感するのは、利用者様との関係性が少しずつ変わっていく過程です。入職した当初は、お互いに緊張感があり、どこか距離のある関わり方でした。利用者様も、私がどんな人なのか分からない中で接してくださっていたと思います。
それが日々の関わりを積み重ねる中で、少しずつ打ち解け、今では家族のような感覚で話しかけてくださる方も増えました。孫を見るような気持ちで接してくださることもあり、そうした関係になれたときに、「この場所で信頼してもらえているのかもしれない」と感じます。
特に送迎の時間は、私にとって大切な時間です。施設内では運動やリハビリテーションが中心になり、利用者様一人ひとりと長く話すのが難しい場面もあります。その点、送迎中は落ち着いて会話ができ、その方のこれまでの人生や日常の出来事を聞くことができます。そうしたやり取りを通して、その人としての魅力を知ることができる瞬間に、介護という仕事の温かさを改めて感じます。
■適切な距離感と情報共有が、支援の質を高める
——利用者様やチームと関わる上で、大切にしていることを教えてください。
利用者様との関わりで最も意識しているのは、距離感です。特に初めて来られる方や体験利用の方に対しては、あえて近づきすぎないようにしています。良かれと思って踏み込んでしまうと、かえって壁が生まれる原因になる場合もあります。その方の表情や反応を見ながら、「今はどの距離が心地よいのか」を常に考えています。
利用者様は日によって体調や気分が違います。昨日は明るく話してくださっていたのに、今日は元気がない、ということもあります。そうした変化に気づいたときも、無理に踏み込まず、その方が話したいかどうかを見極めることを大切にしています。私たちは家族のような気持ちで接してはいますが、もちろん実際には家族ではありません。だからこそ尊重すべき距離があると感じています。
職員同士の関係では、明るい雰囲気と情報共有を大切にしています。現場が慌ただしくなりすぎず、余裕を持って一日が流れているときは、事業所全体の状態も良いと感じます。小さな気づきや変化を共有することで、利用者様の「いつもと違う様子」にも早く気づくことができます。利用者様が継続して通ってくださり、帰るときに「また来週」と笑顔で手を振ってくださる。その何気ないやり取りこそが、良い支援ができている証だと思っています。
■介護の仕事は、社会的価値の高い専門職だ
——これから入ってくる方へ、伝えたいことはありますか。
介護は大変そう、きつそう、というイメージを持たれることが多い仕事だと思います。実際に楽な仕事ではありませんし、きれいな部分だけでは語れません。ただ、それ以上に人を笑顔にできる、明るい側面を持った仕事だと感じています。
私は幼い頃、祖父を在宅で介護する家族の姿を見て育ちました。そのため、介護に対する抵抗感はもともと少なく、「大変だけれど、誰かの生活を支える仕事」だと自然に受け止めていました。
現場で働く中で、その思いはより確かなものになっています。人との関係性の中で信頼が生まれ、「また来たい」と思っていただけることに、大きなやりがいがあります。もし不安を感じている方がいたら、「思っているほど暗い仕事ではない」ということを、まずは知ってもらえたら嬉しいです。
奥田さんの言葉から浮かび上がるのは、介護を「支援の技術」ではなく、「関係性を育てる仕事」として捉える姿勢だった。送迎中の何気ない会話、踏み込みすぎない距離感、職員同士の小さな情報共有。その一つひとつが、利用者様の安心と継続につながっていた。
カラダラボ函館湯川には、人と人が丁寧に向き合い続けることで生まれる価値が育まれていた。奥田さんの語りは、介護という仕事の本質を、静かに、そして誠実に伝えてくれた。


その方の生活に焦点を合わせ、
ご利用者様一人ひとりにあったメニューを提供し、
その先にある自己実現へとつなげます。
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