年間9万人の介護離職は“経済の構造リスク” -社会を止めない3eeeの『垂直統合』戦略-

この言葉の裏にあるのは、単なる人手不足ではない。
年間約9万人が介護を理由に離職し、その約6割が「仕事と両立できない」とされる現実。
これは企業努力では吸収しきれない“構造的リスク”として、日本経済に静かに影響を及ぼしている。
介護は福祉か、それともインフラか。
そして、この問題は日本だけのものなのか。
株式会社3eee 代表取締役・田中紀雄氏に、その本質と、世界を見据えた解決策について聞いた。
目次
- 人数ではなく、“構造”の問題
- 年間9万人が離職。“制度では吸収できない現実”
- 介護は福祉ではない。社会インフラです。
- 私たちは“社会を止めない仕組み”をつくっている
- 「垂直統合」で“分断”をなくす
- 「人口減少」は“構造のミスマッチ”
- 「人材還流」というモデル
- これは日本の課題ではなく、世界のテーマになる
- 介護は“コスト”ではなく“投資”になる
人数ではなく、“構造”の問題
――「社員2000人が介護」という表現が印象的です。
田中:
これは単なる規模の話ではありません。
企業の中で同時多発的に発生する、“見えない労働力の流出”です。
介護は突然やってくる。そして個人では解決できない。つまり、これは個人の問題ではなく、企業経営に直結する構造問題なのです。
年間9万人が離職。“制度では吸収できない現実”
――企業側の対応で解決できる問題ではないのでしょうか。
田中:
現実はそう簡単ではありません。
介護離職は年間約9万人。その約60%が「仕事と両立できない」という理由です。つまり、制度や福利厚生だけではカバーしきれない領域に入っている。一部の大企業は対応できますが、日本の大半を占める中小企業では難しい。
結果として起きるのは、人手不足ではなく、企業活動そのものの鈍化、そして社会稼働の低下です。
介護は福祉ではない。社会インフラです。
――介護の位置付けをどう捉えていますか。
田中:
私は明確に、介護は社会インフラだと考えています。
電気や水道と同じです。止まれば社会は機能しない。介護サービスが不足すると、働く人が職場を離れる。
つまり、企業も経済も止まる。この認識は、まだ社会全体で共有されていません。
私たちは“社会を止めない仕組み”をつくっている
――御社の役割について教えてください。
田中:
私たちは単なる介護事業者ではありません。
“社会稼働を維持するための仕組み”をつくっている会社です。
・介護現場の生産性向上
・海外人材の活用
・ノウハウの可視化・標準化
これらを組み合わせて、介護による労働力喪失を最小化する。それが私たちの存在意義です。
「垂直統合」で“分断”をなくす
――御社の競争優位はどこにありますか。
田中:
私たちは、現地法人、日本語学校、登録支援機関、介護サービスまでを一気通貫で担う“垂直統合モデル”を構築しています。
この形は、全国的に見ても極めて稀有です。人材を送り出す側と受け入れる側、教育と現場、制度と運用。これらが分断されている限り、質も量も安定しない。だからこそ、すべてをつなぐ。
部分最適ではなく、構造そのものを設計する。それが私たちのアプローチです。
「人口減少」は“構造のミスマッチ”
――海外展開の意図は何でしょうか。
田中:
日本だけを見て人口減少を嘆いても、解決にはなりません。
アジア全体で見ると、人口構造は大きく異なっています。若年層が多い国と、高齢化が進む国。これは、“構造のミスマッチ”です。
「人材還流」というモデル
田中:
私たちが目指しているのは、単なる人材輸入ではありません。
“人材還流”の仕組みです。アジアの若者が日本で働き、技能を身につけ、自国に戻って活躍する。そしてまた循環する。これは日本にとっては労働力の確保、送り出し国にとっては人材育成。
双方に価値がある持続可能なモデルです。
これは日本の課題ではなく、世界のテーマになる
田中:
このモデルは、日本だけに閉じるものではありません。
同じ課題は、これから世界で起きる。だからこそ私たちは、この仕組みをアジアから世界へ展開する。介護は入口に過ぎません。
本質は、“人と社会をつなぐインフラをつくること”です。
介護は“コスト”ではなく“投資”になる
介護を支えることは、企業を守ることであり、社会を守ることでもある。
田中氏は最後にこう語った。
「私たちの仕事は、社会を止めないための仕事です。」

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